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塚本八雲は姉、天満をストーカーの脅迫から守るために… 完結 18禁作品につき、18歳未満の方の閲覧を禁じます 陵辱描写を含みますので、ご注意ください ご意見、ご感想などありましたら、ページ下のコメント欄からお願いします <<トップへ リンク集へ>> <<第1話へ 第3話へ>> 塚本邸の居間は昭和な外観にふさわしく、今や珍しいダイヤル式の黒電話や茶だんす、ちゃぶ台などが置かれ、まさにお茶の間である。 平素なら空気もそうなのだが今日だけは、戸締りされた室内に、似つかわしくない緊張感をはらんでいた。 ちゃぶ台をはさんで男と対峙する八雲の前には、開封された手紙と表を伏せた数枚の写真がある。 『この子なんで、天満ちゃんに手紙渡さなかったんだ。どうして』 男の考えている通り、八雲は手紙を天満に渡さずに自分で開封した。散々逡巡したが、男の邪心に気づいた以上姉に知らせる事はでき難かったし、中身を見てそれが正しい判断だったと思った。 「……この手紙は、どういうつもりですか」 口調はいつも通りの静かさだったが、そこには普段の彼女からは考えられないほど激しい怒りを含む。 「お姉さん宛のラブレター、勝手に読んだんだ」 「なっ、ラブレターって、これは……脅迫、じゃないですか」 「どっちにしろ読んだんだ『あん時そんなに怪しかったのか、俺』」 手紙は、八雲の言葉通り脅迫状だった。同封の盗撮写真を公開されたくなかったら、口実を作って学校を休んで家に一人で居るようにと、持って回った表現で指示してある。慇懃な文章は、写真さえなければラブレターに見えなくもない。 その問題の写真は、どうやったのかこの家の隠し撮りで、自室で着替える白で統一された下着姿や、風呂上りの脱衣場で湯滴に濡れる小振りで若干上向きな乳房、上気した肌以上にピンクな乳首など、天満のあられもない姿を写している。 中でもひどいのはトイレで撮影した物で、ルックスには相応、年齢に比してはわずかに幼く閉じた陰唇と、淡い陰毛まではっきりとらえた上で、天満の顔をフレームに収めていた。 性質が悪いことに、それは全ての写真に共通している。 「こんな写真、どうやって」 小さく呟いたのは質問ではなく、憤懣だ。 「良く撮れてるでしょう『まあ、当然だけど』」 それを知ってか知らずか、自慢げに言いながら腰を上げ、卓上に手を伸ばす男に気づいた八雲は、機先を制して写真に左手を添える。 心情としては慌てて押さえたのだが、穏やかで無駄のない動きはそう見えない。しかし、その手はかすかに震えていた。 怖くないはずがない。 脅迫状の差出人と相対するのだ。まして彼女は、もともと人見知りな性格にくだんの能力が拍車をかけ、いささか男性恐怖症の気がある。にもかかわらず、戸も窓も閉め切り密室にした家に、そんな男を上げ二人きりになる状況を選択したのは、身の安全より事を表沙汰にしないほうを、つまりは自身より姉を、優先した結果だ。 自分の左手に落としていた目を閉じる。震えが治まったのを確認して、顔を上げ、男を見据える。その視線の鋭さに、男は中腰で、右腕を伸ばしかけた姿勢のまま固まってしまった。 『もっとおとなしい、気の弱い子で扱いやすいかと思ったのに。世間の評判とイメージ違うじゃん』 そういう風に追いやっている自分の非道もかえりみない身勝手な思惑だが、そこに男がひるんだのが視えたことに勇気づけられ、八雲は言うべきことを言う。 「姉の写真を全部返してください」 「ただで?」 嫌味な口調で返答した刹那、男の三半規管がパニックにおちいった。 天地が逆転したにもかかわらず、ほとんど衝撃を感じなかったので、投げられたことに気づけなかったからだ。 右手首と肘をつかみ手前に引きつけながら、可動性を奪った腕を軸にひねりを加えると、男はあっさりと背中から床に引き倒される。間髪入れず男を裏返し、左腕が男自身の下敷きになるようにうつ伏せにすると、右腕を背中で固め、腰骨に右膝をついて上に乗る。 実に手際よく、男は四肢の動きを封じられた。 「えっ『ええっ、どうなってるの。痛』い、ぐっ」 身動きできないように押さえていただけの右腕を、軽く逆関節に極めると八雲はさっきの要求を繰り返した。 「『弱気を見せたらつけ込まれる』だから、ただ、んげっ」 先程と同じ返事に、腕を締め上げて三度繰り返す。 「写真を返してください。でないと」 「さもないと、何? 『痛い、痛い、痛い』腕でも折る。良いけど『良いわけないっ』君にできるの」 天満のために必要ならできる。 でも本当は、相手がどんな人間であれ傷つけたくはない。その優しさゆえの迷いが、締め上げをわずかに緩ませる。 「『ふう』そんなことしたら、天満ちゃん学校で有名にしちゃうよ、それでもやる『嫌、嫌、本当に折ったら、絶対仕返ししてやる。絶対仕返し、して……折らないで』」 余裕ぶった態度よりも、卑小な本音が八雲をおびやかす。 「放してくれないかな『痛いから早くしろって』」 しぶしぶ右腕を解放して、ゆっくりと立ち上がり男と距離をとる。男は、おおげさに右肘をさすりながら立ち上がった。 「ふう『痛かった、助かった。この子むっちゃ強い。こんなの話が違う』」 八雲は男から目を離さないが、先程までの迫力は少なからず鈍っていて、男の身勝手な心象にいくぶん接近している。 そして、すべきではない交渉を始めてしまった。 <<第1話へ 第3話へ>> ご意見、ご感想などありましたら、ページ下のコメント欄からお願いします <<トップへ リンク集へ>> |
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