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塚本八雲は姉、天満をストーカーの脅迫から守るために… 完結 18禁作品につき、18歳未満の方の閲覧を禁じます 陵辱描写を含みますので、ご注意ください ご意見、ご感想などありましたら、ページ下のコメント欄からお願いします <<トップへ リンク集へ>> 第2話へ>> 十月のある日。 平凡な住宅地にあり、昭和の建売住宅といった風貌と、その庶民的なたたずまいを裏切る広さ ―― 何しろ古風な蔵がある ―― を持った二階家に男が訪れた。 低い生垣に囲まれた木の門をくぐり、「塚本」と表札が掲げられた玄関の呼び鈴を鳴らす。 引き戸を開けて現れたのは、控えめな物腰の中に独特の雰囲気を漂わせた十代の少女だった。タンクトップを重ね着たTシャツと、デニム地のショートパンツから伸びた白い肢体はきゃしゃだけれど、女らしい丸みもあわせ持っていた。 「どちら様ですか」 物静かな当然の問いに、答えるのに不都合でもあるかのように、男は唐突に用件を切り出す。 「塚本さん、いや、お姉さんは居ますか『天満ちゃんの妹、やっぱり美人だわ』」 自分への賛辞など聞き飽きているであろう容姿の持ち主はけれど、一向に慣れることなく感じる戸惑いを、表に出さないように努めなければならなかった。 それはあまり成功しなかったが、彼女が見せたわずかな恥じらいが、男が口にはしなかった考えのせいだなどと、誰も疑いはしないだろう。 しかし少女、塚本八雲には、自分に多少なりとも好意を寄せる異性の心が視えてしまうのである。この力のことは二人暮らしの姉、天満にさえ打ち明けていない。 屈託がなく妹想いの姉は、自分の心が読まれていると知ったとしても ―― 実際天満の心だけは同性なのに視える ―― まったく気にしないはずはないが、それでもあっけなく受け入れてくれるだろう。人見知りな妹とは対照的な社交性と、妹同様の悪意を持たない人間特有の無用心さ ―― 力のことを考えると八雲がそうなのはほとんど奇跡的だが ―― ゆえに、これまたあっけなく他人にしゃべってしまいかねないが。 「ええと。姉は今、留守……ですが」 「そう、ですか『まあ、留守なのは知ってて来たんだけど』」 男は一旦ためらうふりをした上で、使い古した、いかつい合成皮革製の鞄の中、デジカメやビデオカメラの機材らしきものの間から、手紙を取り出して八雲に差し出した。 「これ、お姉さんに渡してもらえますか」 白い封筒の表には、「塚本天満様へ」と特徴のない文字で縦書きされている。 「あっ、はい。分かりました……」 言いながら受け取る八雲を尻目に、男はそそくさと立ち去るべく後ろ手に扉を探る。 「それじゃあ、お願いします『この子、天満ちゃんのあんな写真見たらどうするかな。にやっ』」 姉へのラブレターを言付かったつもりでいた面映さが、一瞬にして消え失せる。男が顔に出さなかった笑いには、とうてい悪戯心では済まされないよこしまさがこもっていたから。 手にした封筒から伝わる、明らかに便箋とは違う手触りが八雲を葛藤に追いやった時、男はすでに居なくなっていた。 翌朝、数十メートル離れた路地に身を潜めながら、塚本家をうかがう男の姿。 その門から出てきたのは八雲ではなく、燕尾服を後ろ前にしたような裾の形のベージュのブレザーと、えんじ色のミニスカートの制服を着た少女だった。 黒目がちな目を除いて何もかもが小作りな彼女は、身長も10センチ以上低く、年下にしか見えないが、八雲の一つ年上の姉、塚本天満である。 何か気懸りでもあるのか、天満に普段の弾むような明るさが見られない。腰まで伸ばしたストレートの黒髪を、耳の上で小さく束ねた左右の尻尾が彼女のトレードマークだが、その尻尾も元気なく垂れている。 天満は、心配そうに一度我が家を振り仰いでから学校へ向かった。 それを見届け、男は再び塚本家を訪ねる。 第2話へ>> ご意見、ご感想などありましたら、ページ下のコメント欄からお願いします <<トップへ リンク集へ>> |
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